まだまにあうのなら

――私の書いたいちばん長い手紙――

私は福岡市から車で西へ30分程度の前原市に住んでいます。そこには海と山に囲まれたのどかな田園風景が広がっています。毎日犬の散歩で田んぼのあぜ道や山道や川の土手を歩きながら日々変化する山や野の風景を楽しみながら、どうかこの美しい自然との共生が永遠に続きますようにと祈らずにはいられません。

この作品の背景はこの集落の田植え直後の田んぼの景色です。使ったテキストは近所に住むお寺のご住職のお連れ合いで、二児の母でもある甘蔗珠恵子(かんしゃたえこ)さんが、1986年のチェルノブイリ原発事故にショックを受けてそれまでほとんど知らなかった原子力発電所についての勉強をものすごい勢いで始めて、その実態を知れば知るほど隠されている恐ろしい事実を黙っていることができなくなり、友人にあてて長い長い手紙を書きました。その手紙が一冊の本となったものです。

この美しい里山も近くにある原発の事故が起こればもう生き物の住めない土地となってしまいます。現在日本国内に原発は55基あり、日本は世界でも有数の原発保有国です。なんとか原発に頼らなくてもいい生活を模索したい、何百年何千年もの間自然と人間が共存してきた美しい営みを失いたくないという気持ちでこの作品を書きました。


(原 文) 「みんな、どうせ灰となる身。せめて、この地球上に生かされている間、争い合うのはやめましょう。殺し合うのはやめましょう。もっと、私もひとも、安心して暮らせることを考えましょう。せめて、この地上にいる間、仲よく、扶(たす)け合って、喜び合って生きましょう。このままでは、人間は自分でつくったもので滅びてしまいます。この地球、そして宇宙は大調和の世界です。これ以上、傷つけ、痛めてはいけない。みんな、みんな同じ、同じいのちなのです。みんなの乗っているこの船は、地球の破滅へとまっしぐらに進む船。早く気づいて降りましょう。一ぬーけた、二ぬーけた。原子力は無用なのです。そして原子力は人類と共存できません。」

墨、柿渋

  

(原 文) 「子孫にきれいに澄んだ空気、いつでも安心して飲めるおいしい水、そして破壊されない地球を遺すことはおいて、次の世代のことも考えず、勝手なものをつくり、勝手なことをして、自分一代ぜいたくの限りを尽くし、その結果の垂れ流しである、世にも危険な核の廃棄物を子や孫に遺そうというのですから。そしてあと始末はおまえたち、よきようにしてくれ――。こんなもの受け継いだ子や孫は何と言うでしょう。こんな考えられないようなことを、本当に私たちはしているのです。私たちの子や孫にです。そしてそのことにほとんどの人が無関心なのです。みんなで本当にまじめに考えなければならない問題ではないでしょうか。明日では遅い、という気がします。」

墨、柿渋

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